旅好きOLのフィールドワーク

旅好きOLの週末旅の記録ブログです。主に海外一人旅の体験を。時々OLさんが思考する文化や社会に関するあれこれを。

ヒヴァ〜サマルカンドその②

長い長いウズベキスタン4日目、続きですよー。

 

私の席はどこですか?

ウルゲンチの駅には、出発1時間前に到着。ここもチケットを持ってないと駅構内にすら入れない仕組み。手荷物とパスポートのチェック受けてー、金属探知機通ってー、パスポートとチケットのチェック受けてー。長い道のり。この国の人々はこうやって安心安全を手に入れてるのね。

私の席は、3号車の1番ベッドでした。ADVANTOURさんに手配依頼したチケット、英語で出発時刻や座席番号のメモ書きを付けてくれてて助かりました。ウズベキスタンのチケット、読み解くの難しい!

 

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私が取ったのは3ランクで真ん中の席。この上にもベッドがあり、2段ベッド2つの4人部屋になっています。私はこの写真の左側のベッド。

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廊下はこんな感じ。4人部屋がずらーっとあります。

そして、なんとこの車両のお客さんほとんどがヒヴァのプロサッカーチームのメンバー・スタッフで占められるという奇跡。サッカー好きの私にはテンション上がる展開。私と同室には監督さんと選手1名。あとビジネスマンのおじさま1名との4人部屋でした。みんな、浮きまくる東洋人の小娘(私)に優しく話しかけてくれて、またまた英語が通じない中で、彼ら=ウズベキスタン語、私=英語の謎のコミュニケーションが開始。サッカー好きだと言うと、

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チームの写真を沢山見せてくれたり。日本といえばシンジカガワ、ケイスケホンダだねと言ってくれたり。私もセレッソの試合を見に行った時の写真を見せて、日本でシンジカガワがいたチームだよーと説明させて頂きました。サッカー好きは国境を越える。

電車が出発してからも、お菓子をくれ、ウズベキスタン旅行はどうだと聞いてくれて、お互いの携帯に入ってる写真を見せ合い、すごく仲良くして頂きました。深謝。

 

そんなこともしつつ、私にはこの列車を探検するという野望もあります。ちょっと歩き回ってきますと伝えて、別の車両までずんずん歩きまーす。しばらくは同じ形の個室の部屋が続き、いくつか車両を越えると個室では無い解放寝台の車両がありました。多分ここが一番下のクラスの席。個室じゃないだけで、ベッドの広さも質も変わりません。グループ旅行なら個室が良いけど、私みたいな一人旅なら解放寝台でも全然良かったかも。その他には食堂車もあります。スタッフの方が、夕方になったら席まで食べ物運んであげるねと言ってくれました。私が見た限りこの列車に日本人1人だったので、すぐ覚えられてしまう。笑

 

出会い

探検に満足して自分の席に戻り、また彼らとお喋りタイム。するとビジネスマンのおじさまが外の風景を見に行こうと言ってくれました。個室からは外が見えにくいので廊下へ。

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砂漠!じゃない土漠!大きくカーブを描く列車の前方が見えるー!ビジネスマンのおじさまはこれを私に見せたくて、外に出ようと言ってくれたみたい。優しい…。

 

この時、また新しい出会いが。

隣の個室から出てきたおばさまが、こっちにおいでよと手招き。

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左が、私を招いてくれたウズベキスタン人のウラ。47歳。ウルゲンチ在住で、息子と2人でタシュケントに向かっているそう。右はカチャ。同じく息子と2人旅中のロシア人です。26歳。

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左がカチャ息子、右がウラ息子。え、待ってカチャ何歳の時の息子…。

彼らもこの列車でたまたま同室だった、初めましての関係。偶然同じ母子構成で、すぐに仲良くなったみたいです。ウラとカチャはロシア語で会話ができますが、私はロシア語がわかりません。息子達は小学校で英語を習っているみたいで、私達の通訳をしてくれました。

なんとカチャ親子は私と全く同じ日程でヒヴァを観光していたみたいで、写真を見せて貰ったら同じレストランに行ったりしていました。すれ違ってたかもねと笑っていました。カチャ親子は私が行かなかったカラ巡り(遺跡巡り)もしていたみたい。親子で写真撮り合ったり、すごく楽しそうでした。でもカチャ、なんで綿花の写真ばっかりそんなに撮ってるの?「コットン!!」とめっちゃ楽しそうに説明してくれました。多分彼女綿花フェチ。

 

どうやらウラは私が男性ばっかりの部屋に1人でいるのが居づらいんじゃないかと心配してくれたみたい。優しい…。

ヒマワリの種を沢山くれました。おやつなんだって。殻の割り方がわからない私に、カチャがへたくそ!と笑いながら何度もお手本を見せてくれました。何回やってもできない私。難しい…でもちょっとずつコツがわかってきた…。ウラは私に温かいお茶を淹れてくれました。温かい人達と過ごす時間、幸せ。

 

そして、夕暮れ

夕方になった時、カチャが「外で景色を見てくる」と言いました。やることないのでついていく私達。

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砂漠に沈んでいく太陽。みんな黙って、並んで外を眺めていました。気付くとサッカーチームの人達も、他のお客さんもみんな夕日を見ています。

 

夕日を見ながら、

あぁ、この国に来て本当に良かったな。

という気持ちが自然に湧き上がりました。

日本にいても楽しいことは沢山あるけど、日本を飛び出してみて初めてわかったことが数え切れないぐらいあります。

 

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隣にいたウラが涙を拭っていることに気付きました。言葉が通じないから理由を聞けない。彼女の背中をさすると、にこっと笑顔を作ってくれました。 それからしばらく、彼女の肩を抱いて2人で夕日を見ました。落ち着いたウラはスマホを取り出し、明るい笑顔で旦那さまの写真を見せてくれました。恰幅の良いおじさんが優しそうに笑っていました。

 

優しいおじさん達

太陽が沈んだ頃、同室のおじさん達が私を呼びに来てくれました。食事するから一緒に食べようと。部屋に戻るとテーブルには沢山のナンと、ハム、チーズ、トマト、それからカップに入った温かいお茶が4つ。おじさん達はすぐウラ達の部屋に行く私に嫌な顔ひとつせず、私の分のお茶まで用意して待っていてくれたのです。

それから「ナンを食べなさい。」「ハムも食べなさい。」「チーズも食べなさい。」「チーズはナンと一緒の方が美味しいから乗せて食べなさい。」「お茶を飲みなさい。」言われるがままにいうことを聞く33歳女。すみません、10代の小娘じゃないんですけど私。サッカー選手の彼は刃渡り30㎝ぐらいの太いナイフで器用にトマトを切り分けていましたが、いやそれ駅の金属探知機とか通ったの?ウズベキスタンの厳重セキュリティに疑念が湧いた瞬間。

 

監督さんは私のベッドメイクまでしれくれる世話焼きっぷり。サマルカンドに深夜3時に着いて寝過ごさないか心配する私に、「心配要らない。私達が起こしてあげるよ。」と監督。頼りにしてます。

 

そして、就寝

 21時頃、横になるも、

揺れが酷い。

日本のように「お客様に快適な列車の旅を!」なんて発想は無く、安全に移動できればOKついでに安く仕上げたいという狙いが見え隠れする車体。寝転がると振動がモロに内臓に響く。これは想像以上にキツイぞーーー

 

気が付いたら0時を回っていました。

結局すぐ寝ていた。爆

 

あぁ、もうすぐナヴォイの駅です。カチャ親子が降りてしまう駅。絶対起きてさようならを言わなくちゃ。そこからは横になるものの眠りはせず、列車の揺れに合わせてジャンピングする内臓を必死に押さえ込む時間。いてて。

 

やがてナヴォイ駅に列車が到着。廊下に出るとカチャの息子と目が合いました。笑顔でバイバイ。大荷物のカチャが後ろからやってきます。私を見て、にっこり。バイバイ、スパシーバ。カチャ親子が自宅に帰るまで、安全で楽しい旅になりますように。

 

再び列車が動き出し部屋に戻ると、同室のビジネスマンのおじさんが起きていました。「ここどこ?」と聞くのでナヴォイだよと回答。おじさんはいそいそと荷物をまとめ始め、列車が次の駅に着くと、「私はこの駅で降りるんだ。バイバイ。」と丁寧に挨拶をして降りていきました。

一期一会の出会い。これがウズベキスタンの列車旅なんだなぁ。

ところでさっきから何度駅に停まっても起きる気配がないサッカーチームの彼らは本当にサマルカンドで私を起こす気ある?

 

やっと、サマルカンド

深夜2時過ぎ。浅い眠りから覚めた私は再び廊下に出ました。ここからはあと30分少しだし、起きていようかな。

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廊下に列車の時刻表。真ん中に駅名と、その右に到着時刻、停車時間、出発時刻。慣れなかったキリル文字も何故か読めるようになる不思議。1番上がタシュケント。その3つ下がサマルカンド。更に2つ下がナヴォイです。

1人でいると、ウラが部屋から出てきました。目が覚めちゃったから一緒にいるって。それから通りかかった車掌さん達も含め、4人でスマホの写真を見せ合ったり、窓の外の民家を眺めて過ごしました。

 

定刻を5分程過ぎて、ついにサマルカンドに到着。憧れていた街の筈なのに、今は到着が寂しい。

ウラ達に見守られながら列車の降り口に。最後に顔を見合わせて、どちらからともなくぎゅーっとハグ。私、旅先で出会った人とハグなんてしたことないのに。ウズベキスタン風に、右と左の頬を順番に合わせて、何度もラフマットと伝えました。優しいウラの強い強いハグに背中を押されて車外へ。何度も振り返って手を振り、私はサマルカンド駅のホームを進みました。

 

あぁ、これでお別れ。だけど忘れられない出会いでした。

ウズベキスタンに来たこと、

移動にこの夜行列車を選んだこと、

2等の部屋を予約したこと、

どれひとつでも無ければ生まれなかった出会いです。やっぱり出会いとは奇跡なのです。

 

ラフマットはウズベキスタン語をひとつも知らずに来た私が、現地の人にまず教えて貰った言葉です。

「ありがとう」

これを私が言うと、みんな笑顔になります。

 

この後迎えに来てくれていたホテルの人と合流し、チェックインを済ませたら泥のような眠りにつきます。そこからはまた次回の話で。ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

 

 

サッカーチームの彼らは起きて私を見送ってくれたかって?熟睡ダヨネ!!